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2016年01月

「海街diary」(吉田秋生)のドイツパンのコロッケサンド

「海街diary」(吉田秋生)のドイツパンのコロッケサンド

「まんが道」以来、漫画とコロッケパンの間には何か特別な関係があるのでしょうか。これまでにもいくつかの作品を紹介してきましたが、「海街diary」の最新刊(7巻)にも、おいしそうなコロッケサンドが登場していました。

「海街diary」(吉田秋生/小学館)7巻より「肉のナカムラ」でコロッケを買うついでに、姉たちから大量のおつかいを頼まれたすず。
長女の幸(さち)が頼んだのは、「ベルグフェルド」のドイツパン。
「お姉ちゃんのお気に入りのおっもいドイツパン」とすずが説明していますが、幸はナカムラのコロッケとこのパンを一緒に食べるのにハマっているようです。
※【コマ引用】「海街diary」(吉田秋生/小学館)7巻より

「海街diary」には架空のお店とは別に、実在の鎌倉の有名店もいくつか登場しますが、「ベルグフェルド」もそのひとつで、本店は鶴岡八幡宮の近く。すずが立ち寄ったのは、長谷店のようです。
7巻を読んで、四姉妹だけでなく、「海街(鎌倉)」もこの物語の主役なのだと思わされたのですが、地元のお店の愛情あふれる描かれ方にもそれが表れている気がします。

さてコロッケパンといえば惣菜パンの代表格ですが、普通は食パンやコッペパンで作るもの。かたやドイツパンといえば「堅い・重い・酸っぱい」が特徴で、日本人好みの「ふわふわもちもち」パンと対極の存在。日本でもハードコアなパン好きはこちらを好む印象ですが、幸姉もそうなのでしょうか。
なんにしろ、コロッケとドイツパンの組み合わせ、どんな味になるのか気になって再現してみました。


こちらがベルグフェルドさんで購入したパン。紙袋のデザインがかわいい(ちなみにメールでの通販もできるようです)。
鎌倉・ベルグフェルドのドイツパン

ドイツパンにはいくつか種類がありましたが、今回買ったのは、「ライ プレーン」と「プンパニッケル」。
どちらもライ麦を使ったドイツパンですが、「ライ プレーン」はライ麦が40パーセント、プンパニッケルは70%で、見た目も重さもびっくりするほど違います。

プンパニッケル(右)はほんとに「ずっしり」という言葉がぴったりで、すずが風太に荷物運びのヘルプをお願いしたのも納得。幸姉が頼んだのもこっちだったのかな。
鎌倉・ベルグフェルドのドイツパン

コロッケは豚肉と牛肉の二種類を買ってみた。
コロッケ

和風ソース「肉のナカムラ」の自家製ソースは「ちょっと和風」という、幸姉の貴重な証言があるので、市販のソースにかつおだし+醤油をブレンドしてみる。

ちなみに関西のオリバーソースからは、ずばり「しょース」なる製品も出ているようで気になる。


コロッケをオーブントースターでこんがりと温めたら、ソースを塗って、そのまま薄く切ったドイツパンにはさんでいただきます。
手持ち
食べた感想:
まずはライプレーンから。みっしりと噛みごたえがあるパンがおいしい。でもコロッケとダイレクトに相性がいいかといわれると、間に何か野菜があったほうがいいような気もする。

「海街diary」(吉田秋生)のドイツパンのコロッケサンド
こちらはプンパニッケル。
酸味のきいた重い黒パンに、こんがりサクサクの甘いコロッケの組み合わせが、意外なおいしさ。幸姉がハマったのも納得で、個人的にもこっちのほうが好み!

それぞれ、カットした断面図。
断面 断面

チカちゃんのおつかいオーダーが「コロッケパンにコロッケ4つ」で、佳乃が「どうかしてる」とつっこんでいましたが、コロッケパンを食べても、単品のコロッケは別腹なのだ……と、実際に食べた私が擁護させていただきます。コロッケさいこう。

今回、お遊びで動画も作ってみました(ぶれぶれですみません…)。



そのほかの「コロッケパン」漫画飯はこちら
「まんが道」(藤子不二雄A)のフランスパンのメンチカツ&コロッケはさみ
「きのう何食べた?」(よしながふみ)のコロッケパン
「真夜中ごはん」(イシヤマアズサ)のクリームコロッケサンド

ドイツパンを取り上げた漫画飯はこちら
「女の子の食卓」(志村志保子)のライ麦パンのサンドイッチ

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「きのう何食べた?」(よしながふみ)のおうち焼き肉

「きのう何食べた?」(よしながふみ)のおうち焼き肉

「きのう何食べた?」(よしながふみ/講談社)10巻よりリコッタチーズのパンケーキパーティを再現したときに購入したホットプレートで、10巻に出てくる「おうち焼き肉」を作ってみました。順番的には、このエピソードでホットプレートのよさに目覚めたシロさんが、自宅用にも購入する……という流れ。
※【コマ引用】「きのう何食べた?」(よしながふみ/講談社)10巻より

肺がんの初期手術で入院していたシロさんの母親が無事退院。
実家でお祝いに作ったのは、お寿司のようなあっさりメニューではなく、なんと焼き肉(といっても、ホットプレートで焼くので実際は「鉄板焼き」に近いかも)。
業者のお弁当や作り置きのおかずなど「レンジでチン」な食生活だった父親も、病院のあっさりした食事に飽きていた母親も、心の底から食べたかったのはこのこってり料理、というのは、リアルで共感できますね。


大根をすりおろす作り方:
今回のたれは、大根おろし&ポン酢でさっぱり。大根をがしがしすりおろします。


いい肉母親の退院祝いを兼ねているので、お肉は少量でいいので、ちょっといい和牛を(シロさんが買っていたのは岩手の黒毛和牛)。

もみこむ市販の焼き肉のたれを肉にもみこんでおく。下準備はこれだけなので、簡単ですね。


野菜を切る なすを切る
すき焼きのときと同様、今回の焼き肉もお肉少な目、野菜たっぷりのバランスのよう。
もやし、キャベツ(ざく切り)、ピーマン(縦半分)、にんじん(斜め切り)、玉ねぎ(繊維に逆らってくし切り)、ナス(斜め切り)、じゃがいも(薄切り)、かぼちゃ(薄いくし切り)と種類も豊富。

野菜盛り 野菜盛り2
並べると、こんなにてんこ盛り! ザルからこぼれそう…。

具材を並べたら、ホットプレートに電気を入れて、温まったらサラダ油を敷く。
「きのう何食べた?」(よしながふみ)のおうち焼き肉

ふつうの焼き肉と違って、おいしく仕上げる順番もあるようです。
まずはじゃがいも、にんじん、かぼちゃを並べて、油をプレート全体にいきわたらせる。
野菜を焼く

フタをしてしばらく焼いたら、ナスとピーマン、お肉を投入。
肉も野菜も焼く

もやしとキャベツ、(玉ねぎもこのタイミングかな?)を乗せたら、再びフタをして蒸し焼きに。
野菜を乗せる

上の野菜がしんなりしたら完成!
蒸し焼き

大根おろし+ポン酢で。
大根おろしで
食べた感想:
油のなじんだ野菜とやわらかお肉を、あっさりおろしポン酢で食べる幸せ。
今まで知っていた鉄板焼きは、焼き肉と同様にめいめいが好きなタイミングで焼いて食べるスタイルだったんですが、このジンギスカンのような「蒸し焼き」スタイルだと、お肉のうまみが野菜にうつって、さらに野菜の甘みも引き出されて、何倍もおいしい気がする。

ご飯と一緒
白飯にのせたら、一瞬天国が見えました。
上でも書いたけど、牛肉は少量でいいので、その分「ちょっといいもの」を使うのがポイントかも。
手間がかからないので、普段は豚や鶏肉でアレンジすれば、安くて便利なおかずになりそう。

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「勤番グルメ ブシメシ!」(土山しげる)の南京汁と胡椒飯

「ブシメシ!」の南京汁

私の知っている中で、一番「静かな」土山しげるマンガかもしれない。

「勤番グルメ ブシメシ!」は、江戸時代の実在の武士、酒井伴四郎の日記をもとにした江戸グルメ漫画。紀州藩から単身赴任で江戸に勤番しつつ、叔父の食事の世話を引き受けている伴四郎の食生活が描かれます。

怒号も飛び交わないし、ヤクザも謎の必殺技も出てこないし、淡々と描かれる下級武士の日常は、まるで谷口ジロー作品のようで、これがほんとに土山先生なのか…(※偏見です)と驚きますが、もともと生活感を描くのがうまいだけあって、こまやかな描写が新境地の面白さ。食い意地の張った叔父上とのやりとりや、江戸の街グルメをうきうきと食べ歩きする様子に、200年前の人物と思えないほど親近感がわいてきます。

今回は、9話に登場する「南京汁」と「胡椒飯」を再現してみます。どちらもおなじみの食材が登場しながら、その調理法は今の私たちからするとちょっと新鮮。

「勤番グルメ ブシメシ!」(土山しげる/リイド社)よりまずは「南京汁」から。風邪をひいた叔父のために作った、温かくて腹持ちのいい汁物。
料理名に「南京」とついているとカボチャを思い浮かべますが、これは溶き卵とおからが入った味噌汁。なぜこの名称なのかは、少し調べてみても解明できず…。

※【コマ引用】「勤番グルメ ブシメシ!」(土山しげる/リイド社)より


おから おからを炒める
南京汁の作り方:
フライパンにサラダ油を入れて熱し、生おからを焦げないようにパラパラになるまで炒める。

溶き卵を入れる おからを入れる
味噌汁を作り、そこに溶き卵をまわし入れてふんわりと仕上げる。炒めたおからを入れて軽く混ぜ、ひと煮立ちさせたら完成。

完成
食べた感想:
おからと卵、肉食が一般的ではなかった江戸時代の貴重なタンパク源がたっぷり入っていて、まさに「滋養食」。
味噌汁におから、って初めての組み合わせだけど、クセもなく、すり流しのようにするすると食べやすくて、気に入りました。よく考えたら豆腐とか油揚げとか、大豆製品は味噌汁の定番なので、合わないはずないか。


「勤番グルメ ブシメシ!」(土山しげる/リイド社)よりもう一品は「胡椒飯」。同じく風邪気味の同僚を見舞った際に作ったもの。
和食のイメージが薄い胡椒ですが、作中の解説によると、室町時代には輸入されていたようで、江戸時代には薬味として普通に使われていたよう。

冷や飯胡椒飯の作り方:
鍋に冷や飯を入れ、かつおでとった出汁をそそぎひと煮立ちさせ、醤油で味付けをする。

胡椒黒胡椒を挽きながらたっぷり入れる。

きざみ昆布 こんぶを入れる
きざみ昆布を散らして完成。

大根おろしを薬味にそえていただきます。
「ブシメシ!」の胡椒飯

「ブシメシ!」の胡椒飯
食べた感想:
いわばシンプルな味付けの雑炊ですが、かつお出汁にぴりっと効いた胡椒って、創作料理のようなモダンな組み合わせにも感じる。「一周まわって新しい」的な。
冷たい大根おろしと一緒に食べると体が整っていくような気持ちに。江戸時代の人も文字通り「薬味」として、胡椒を日常に取り入れていたんだなー、と思うと興味深い。

鍋この話のオチで、叔父のわがままにも関わらず、伴四郎が終始ご機嫌だった理由が明かされるのですが、それは「道具市で新しく買った鉄鍋の使い勝手がまことによかった」から、というもの。

これは実際の伴四郎の日記にも書かれている描写だそうで、おニューの道具がうれしくて料理がはかどるなんて、完全に現代の料理男子に通じるものがありますよね。伴四郎を実写化するなら、谷原章介or速水もこみちあたりを希望(胡椒ファサー)。

※ほんとは作中のような鉄鍋で再現したかった…のですが、めぼしい鍋が見つからず、今回はストウブで作りました(個人的な「テンションが上がる鍋」ってことで)。



解説を書かれている青木直己さんの著書も面白そうなので、いずれ読んでみよう(Amazonでは品切れ、中古も高騰してるようです…)。

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