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2014年11月

「その男、甘党につき」(えすとえむ)のヌテラのクレープ

「その男、甘党につき」(えすとえむ)のヌテラのクレープ

チョコレートに魅せられた男、ジャン=ルイを主人公にした短編集。
本業はやり手の弁護士、ショコラトリーでケーキ4つとショコラ13個を一人でたいらげるほどの甘党にもかかわらず、痩身を維持する美中年。パリを舞台に、彼とショコラとさまざまな男女が織りなす8つのエピソードがつむがれます。

ちなみにコミックの装丁も、高級ショコラのパッケージのように美しいのです。中のページもチョコレート色のインクで刷られているという徹底ぶり。最近は電子書籍を買う機会も増えましたが、凝った装丁の本はやっぱり手元に置いておきたくなってしまう。

「その男、甘党につき」(えすとえむ/太田出版)蠱惑的でありながら、稚気に富む。相反するショコラの魅力がよく表れているのが、「ヌテラのクレープ」のエピソード。
パリの街角で、迷子の少女・ユナと出会ったジャン=ルイ。幼いながらレディーの風格漂う彼女は女優志望で、砂糖たっぷりのショコラは母親から禁止されている。
※【コマ引用】「その男、甘党につき」(えすとえむ/太田出版)より

ルイは彼女を庶民的なカフェにエスコートしてクレープを注文し、これまた庶民が愛する「ヌテラ」をたっぷりと塗って食します。
そんなのチョコレート味の脂肪のかたまりじゃない
ユナは露骨に嫌悪感を表しますが、ルイは
その通り だって今日はマルディ・グラだ」と一言。

「マルディ・グラ」とは謝肉祭の最終日。明くる日からの長い断食に備え、人々が最後に食欲を爆発させる日。フランスではこのマルディ・グラにクレープを食べる習慣があるようです。
その意味をふまえると、ショコラを頑なに拒否していたユナが、ルイの誘惑に負けてスプーンたっぷりのヌテラをうっとりと口に含むのは当然の成り行きなのかもしれない。

ヌテラちなみにこちらがそのヌテラ(写真撮り忘れたので以前撮ったやつ)。日本でも輸入食品店や大き目のスーパーで売ってますね。

ヤマザキマリ先生の「ヌテッラのティラミス」でイタリア人のすさまじいヌテラ愛が紹介されてましたが、フランスも負けてないようで、街角のクレープ店ではだいたいトッピング用のヌテラの大瓶がドーーンと置かれてるようです。
(クレープ自体も日本と異なり、この話のようにシンプルな食べ方が主流みたいですね)

nutella crepe」で画像検索したら、ヌテラ版のミルクレープみたいなのも出てきたけど、さすがにカロリー的にドクターストップをかけたいレベルだった……。

さて少女が陥落した庶民的なヌテラのクレープ、どんな味なんでしょうか。

卵、小麦粉、砂糖 混ぜる
作り方:
辻調理師さんのサイトのレシピを参考にしています。
ボウルにふるった薄力粉、卵、砂糖を入れてなめらかになるまでよく混ぜる。

バター バター2
フライパンにバターを入れて熱し、キツネ色になるまで溶かす。これをボウルに加えてよく混ぜる。

牛乳 漉す
牛乳を少しずつ加えて混ぜ、なめらかな生地になるよう一度漉す。ラップをして一時間冷蔵庫で休ませる。

焼く 裏返す
溶かしバターを作ったフライパンをキッチンペーパーで軽くぬぐい、中弱火でクレープ生地を焼く。お玉1杯分より少な目の量を流し、生地の端が乾いたら裏返す。裏面はさっとでOK。

クレープ焼けたクレープを折りたたんでお皿に盛り付ける。


クレープにヌテラをたっぷりとのせて完成。
「その男、甘党につき」(えすとえむ)のヌテラのクレープ

「その男、甘党につき」(えすとえむ)のヌテラのクレープ
食べた感想:
焼き立てのなめらかなクレープ生地にヌテラをたっぷりからませて食べると、大人も子供も国境も超えて愛されるおいしさだと実感。そしてクレープ自体の味を楽しむには、これくらいシンプルなトッピングのほうがいいのかも。

ちなみにヌテラは純粋なチョコレートではなく、ヘーゼルナッツペーストにカカオを混ぜた「チョコ・スプレッド」。一流ショコラトリーから庶民の味まで、「ショコラに貴賤はない」とばかりの守備範囲をみせる、ジャン=ルイのショコラ愛にも脱帽です。

えすとえむ先生は、「うどんとフェティッシュ」というスゴい取り合わせのテーマの名作「うどんの女」もありますが、こちらもおすすめ。
4778322029その男、甘党につき
えすとえむ
太田出版 2013-07-25

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「たそがれたかこ」(入江喜和)のにゅうめんinソーキ汁

「たそがれたかこ」のにゅうめんinソーキ汁

なるべく同じ漫画の記事が続かないようにしてるのですが、3巻があまりにも素晴らしかったので勢いで作ってしまった。「たそがれたかこ」のにゅうめん入りソーキ汁。

深夜ラジオから聞こえてきた歌声に心をつかまれ、45歳にして若手バンド「ナスティ・インコ」に恋をしたたかこさん。
勇気を出して挑んだ初めてのイメチェンに、読んでるこちらも心が躍った2巻から一転、3巻はひとり娘の一花に訪れた突然の異変、人生初の反抗期による爆発(これが「のんちゃんのり弁」の流血夫婦喧嘩並みのすさまじさ)など、重苦しいシーンが続きます。

「たそがれたかこ」(入江喜和/講談社)3巻より深夜に自宅を飛び出したたかこさんは、同じアパートに住む不登校の中学生・植松君の家出に出くわし、彼を連れて飲食処「美馬」へ向かいます。そこで注文したのが、にゅうめんinソーキ汁。
※【コマ引用】「たそがれたかこ」(入江喜和/講談社)3巻より

30歳近く歳が離れていながら、同じバンドのファンでさらに反抗期(思春期と中年の違いはあれど)の2人が、カウンターに並び、それぞれの思いを抱えて温かいにゅうめんをすする。むっつりと押し黙っていた植松君も、「ヤベー」「まじウメー」とすごい勢いでむさぼる。

そんな「生きづらさ」を抱えた2人を見守る、店のマスター・美馬さんの優しい表情は、これまでの緊張感あふれる展開を解きほぐすかのようで、じんわりきます。よりどころのない孤独な夜に、こんな居場所があったらどれだけ救われるだろう。

そしてソーキ汁とにゅうめんの組み合わせがまた、食欲と興味をそそります。
通常のソーキそばは太麺でコシもありますが、あのあっさりしたスープには、うどんや素麺みたいな柔系の麺も合いそうだよなー。

豚軟骨ソーキ汁は沖縄の家庭料理。豚の骨つきあばら肉(ソーキ)を、大根や昆布と一緒にだしで煮込んだもの。作り方は説明されていないので、例によって自己流です(ソーキ汁自体、家庭によっていろんな作り方があるみたい)。

骨つき肉は、スーパーだとスペアリブが手に入りやすいですが、業務用スーパーを探し回って軟骨バラ肉を見つけたので、今回はこっちを使ってみる(煮込めば骨まで食べられるそう)。

二度ゆで 二度ゆで2
軟骨肉は水から茹で、煮立ったらザルにあける。これをもう1回繰り返す。

ねぎ、しょうが 圧力鍋
圧力鍋に軟骨肉、ショウガ、ネギ(青い部分でOK)、泡盛を入れてフタをして強火にかけ、蒸気が上がったら弱火で30分加圧→そのまま冷却。

圧力鍋アフター煮込んだ軟骨肉は、骨からコラーゲンが出たのかトロリとしたスープに。このままフタをしない状態で、スープが白濁するようにボコボコと煮込みます。


こんぶ だし汁
その間に軟骨スープとブレンドするための、だしを準備。コンブとカツオで濃い目のだしをとります。

大根大根は1センチ程度の厚さに切って皮をむき、いちょう切りにし、軽く下ゆでしておく。

スープを漉す軟骨スープが白濁したら、キッチンペーパーを敷いたザルとボウルでスープを一度漉す。

だし+スープカツオ&こんぶだしと、軟骨スープをブレンドします(半々でも、どちらか多めでもお好みで)。

大根、結びこんぶ軟骨肉と大根、だしがらから作った結びこんぶを入れて大根がやわらかくなるまで煮る。塩、しょうゆ、みりん少々で味付けして完成(だしがきいてるので、味付けはあくまでも薄めで)。

そうめん湯をわかして、そうめんを茹でます(2人分で2~3束程度)。あとで温めなおすので、袋に記載された茹で時間よりも短めに。
茹でたそうめんは流水でもみ洗いし、水気をきっておく。

小鍋で温める小鍋に食べる分のそうめんとソーキ汁を入れてさっと温め、器に盛ってネギを散らす。


「たそがれたかこ」のにゅうめんinソーキ汁

「たそがれたかこ」のにゅうめんinソーキ汁
食べた感想:
骨まで食べられるトロトロのソーキ、意外にあっさりした豚骨&だしベースのスープ。淡泊なにゅうめんは味を主張しないので、優しいスープがダイレクトに胃にしみて、しみじみとおいしい。飲み屋さんに置いてたら、お酒の〆に大好評なんじゃないでしょうか。

「たそがれたかこ」(入江喜和/講談社)3巻よりこのほかにも、飲食処「美馬」のメニューはお品書きだけでもツボをつかれるものばかり。美中年・美馬さんとメガネ男子・コーヘイ君の掛け合いも楽しいんだ。近所にこんな店があったら、人はもうちょっと強く生きていけるとおもうの。
※【コマ引用】「たそがれたかこ」(入江喜和/講談社)3巻より

入江先生も後書きで「絶好調」と言うほどノリにのった展開で、次巻が待ち遠しい。
これからはじめて読む方は、ぜひ3巻まで一気に読んでいただきたいです。(雲田はるこ先生推薦の帯もカワイイのですよ)

美馬のおつまみ
追記:
美馬の存在がうらやましすぎて&食べたすぎて、おつまみメニュー作ってしまった……。
左から時計まわりに「たたみイワシとミモレット」「里イモの柚子そぼろがけ」「ズッキーニのピカタ」「塩銀杏」。たたみイワシとミモレットの組み合わせ、おいしい。

4063770842たそがれたかこ(3) (KCデラックス BE LOVE)
入江 喜和
講談社 2014-11-13

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たそがれたかこ(1) (KCデラックス BE LOVE) たそがれたかこ(2) (KCデラックス BE LOVE)

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「きのう何食べた?」(よしながふみ)のコロッケパン

P1140588.jpg

koma_20141104000600865.gifひさびさにモーニング本誌の「何食べ」から作ってみました。
読んだときから「わーわー、これ絶対食べたい」と興奮した、魅惑のコロッケパン!

※【コマ引用】週刊モーニング2014年第26号「きのう何食べた?」(よしながふみ/講談社)より


コロッケパンと聞いて、マンガ好きが脊髄反射的にまず思い浮かべてしまうのは、「まんが道」のアレですが、「何食べ」ではフランスパンでもコッペパンでもなく、食パンです。それもinではなくon。
シロさん家のパンメニューは、「コンビーフオニオントースト」や「キャラメルりんごトースト」など、リピートして作っちゃう名作が多いので今回もわくわく。

といってもこれまでのパンメニューと違い、けっこう手間がかかります。なんといっても、コロッケはイチから手作り。シロさん家でも朝食ではなくランチとして食べるごちそうトースト。


P1140539.jpg P1140545.jpg
作り方:(※分量は本編をご確認ください)
じゃがいもは一口大に切ってひたひたより少な目の水、塩を入れて茹で、水分を飛ばして粉ふきいもに。本文にもあったけど、フッ素加工の鍋を使うと後片付けがラク!(いものでんぷんが鍋にこびりつくので)

P1140542.jpgみじん切りした玉ねぎをサラダ油でいため、合いびき肉を入れてボロボロになるまで炒める。塩、こしょう、しょうゆ、ナツメグで味付けし火を止めておく。

P1140549.jpg P1140551.jpgじゃがいもとひき肉&玉ねぎ炒めをボウルに入れ、ざっと混ぜる。タネが温かいうちに12等分し、小判型にまとめて冷蔵庫で冷やしておく(揚げるときに型崩れしにくくなるらしい)。
P1140555.jpgその間に、つけあわせのキャベツを千切りしたり、副菜2品(後述)の準備をしたり。

P1140561.jpg(1)小麦粉、卵、水をよく混ぜたコロモ
(2)パン粉
をそれぞれ用意しコロッケのタネを(1)→(2)の順にまぶす(タネが冷えてるので扱いやすいです)。
コロッケ12個分に対して(1)のコロモは少なく思えますが、実際にやってみると気持ちいいくらい、ちょうど使い終える量なことがわかります。揚げ物するとき、コロモが中途半端に余って困ることが多いので、地味にうれしかったり。

P1140564.jpgフライパンに2~3cmの高さに油を入れて、170~180度で両面がキツネ色になるように揚げます。
油の温度の状況によっては、コロッケが破裂してしまうので手元に注意(そういえば、昔これがトラウマでその後作らなくなったんだった…)。
あと何回かに分けて揚げているとパン粉が下に溜まってくるので、こまめに網杓子ですくって取り除いたほうがいいかも。


たっぷりのキャベツの千切りを添えて完成。
P1140577.jpg

ちなみに作中に登場する食パンは、ケンジが(勝手に)目のカタキにしている、シロさんの美人元カノのベーカリーもの(うちはホームベーカリーで焼いてみた)。

P1140603.jpg P1140608.jpg
食パンにキャベツ&コロッケをのせたら、上から中濃ソースをどばどば。
そのあと箸でコロッケをくずしてからいただきます。

P1140617.jpg
koma2_20141104000602438.gif←かぶりつくときの「ばふっ」「もがっ」の効果音がたまらん。今回はこの食べ方のマネがしたくて作ったようなもんです。

※【コマ引用】週刊モーニング2014年第26号「きのう何食べた?」(よしながふみ/講談社)より


コロッケなんてスーパーで買ったほうが絶対コスパがいいはずなんですが、だからこそ手作りすると贅沢感がハンパないという。個人的にはコロッケではなく「クロケット様」とお呼びしたいくらい。もちろん市販品でも十分おいしいと思いますが、時間があればぜひリッチな揚げたてのクロケット様も、試していただきたいです。


副菜はこんな2品でした。
P1140575.jpg
オクラの辛みそがけ:
ゆでたオクラにコチュジャン、酢、みそ、みりん、マヨネーズをあわせたタレをかけたもの。ぴりっと辛くて、箸が進みます。このコチュジャンタレ、ブロッコリーとかほかの野菜にも合いそう。

P1140581.jpg
トマトスープ:
鍋に水と顆粒のトリガラスープとしょうゆ、角切りしたトマトを入れて、仕上げに黒コショウをひいたシンプルなトマトスープ。簡単&酸味がきいてて目覚めにもよさそうなので、朝食にもいいかも。

ちなみに今回のエピソードでは、シロさんの勤務先の事務員・志乃さんにとある「おめでた」な出来事が起こります。1巻から読み返すと、少しずつ周囲の登場人物にも変化が訪れてるんですね。

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